体の中で起こる糖化

前回、ホットケーキ、北京ダック、醤油など、美味しそうに見えて食欲をそそる風味のある食品には糖化が関係しているというお話しをしました。実は食品の糖化と同じ反応が私たちの体の中でも起こっています。人の血液中には血糖(ぶどう糖:グルコースとも呼ばれます)が含まれます。そして体にはたんぱく質が皮膚、筋肉、内臓など様々部分に存在し、常に体温(36〜37℃)で温められた状態です。このため時間と共に糖化反応が進みます。特に食後などの血糖値が高い状態が続くときは糖化が起きやすくなります。糖化反応は糖とたんぱく質から「糖化たんぱく質」と呼ばれる物質ができるところから始まります。糖尿病の診断に使われている血中のヘモグロビン・エイ・ワン・シー(HbA1c)も糖化たんぱく質の一種です。これらの糖化たんぱく質は体の糖化状態をモニタリングすることで大体1~2カ月前の血糖値の状態を推定しています。体の糖化反応は血糖以外でも進みます。体内で血糖値が高い状態が続くとアルデヒドと呼ばれる反応性の高い物質ができます。これらの物質は血糖と同様に終末糖化産物であるAGEsを作ります。最近の研究では血中のアルデヒドが食後に血糖値が高くなる短時間であってもできることがわかってきました。食品における糖化は食生活を豊かにする効果があります。しかし体の糖化は体にダメージを与え、老化や様々な疾患へと導く死神のような影響があるのです。